これから映像を始める方へ!カメラを買う前に!!光と色の大切さについて

2022.2.24 竹山 動画撮影・編集

みなさまこんにちは、ニューステラ映像制作事業部の竹山です。

今日お話しさせていただく内容は、映像撮影に欠かせない『光と色』についてのお話です!
これから映像制作を始めようと思っている方などには特に見ていただきたいなと思っています。

最近SNSの普及などにより、映像制作をされている方が多くなっていますが、撮影時に『光と色』気にしていますか?作品の世界観を大きく左右する光と色は映像撮影の現場においてとても重要な役目です!

例えば緑色の光は自然の色でもあり、緊張を連想する人もいれば、嫉妬の感情や登場人物の変化を表す…その一方で黄色やオレンジの光では心地よさ、家庭・愛情・穏やかさを表す、というように光と色は作品のストーリーを語るうえではとても重要な役目なんです!

確かに撮影においてカメラはとても重要で、ミラーレスカメラや一眼レフカメラ、さらにはひと昔前まで高単価で買えなかったシネマカメラが、驚くほどの低単価で購入できるようになるなど、『カメラは何を購入しようかな~』『このカメラにあうレンズは何かな~』などと悩んでいる方や、私自身相談を受けることが多々あります。
 
でもいいカメラを買ったからといって、いい作品ができるとは限りません!
実は、カメラ以外の構成や照明などにこだわる方が、よっぽどいい作品になる可能性が高かったりします。

これはあくまで一個人の意見ですが、ほかの多くの映像制作関係者も、『もし仮に20万円のカメラを購入するなら、10万円のカメラを購入して、もう10万円を照明に注ぎ込んだ方がいい!』という方や、ベテランカラリストの三浦徹さんは『映像の仕上げで、コンポジット作業のカラーコレクションや、カラーグレーディングの良し悪しは、撮影現場でのカメラの絞りとライティングで決まる』と語っています。

ちなみにこちらは、左がミラーレスカメラで照明なしで撮影した画、右がiPhone SE2で照明をコントロールして撮影した画です↓


出典:https://www.youtube.com/watch?v=Bx3FzJ4XzV4

光や色は最後のカラーコレクションやカラーグレーディングでのコンポジット作業でなんとかすればいいんじゃない?という方もいますが、確かにある程度はカラーコレクションやカラーグレーディングでカバーできる部分もあります。

ですが、『演色性』という言葉をご存知でしょうか?
光は物体の色を見るうえで欠かせない条件なのですが、太陽光、家の電球や蛍光灯、そして映画などで使われる照明など、光源の種類によって色の見え方が変わってきます。
 
運転しやすい光、暮らしやすい光、撮影に適した光、それぞれ求められる要素が違うということです。

この光によって違いを表現していく中で、照らされた物体の色の見え方のことを『演色』といい、物体の色の見え方に与える光源の特性のことを『演色性』といいます。撮影後の色は変えられても、『演色性』は変えることはできないのです!!

よって照明を選ぶ時は、使い回しのしやすさや光量、色温度などももちろん大事です。
特に光量に関しては、光が弱い照明を買ってしまうと表現する幅が狭まってしまったり、そもそも昼間などの撮影で自然光の光にプラスして光を付け加えたい時などには効果が現れません。
結果メルカリやヤフオクに売る始末に。。。


出典:https://www.youtube.com/watch?v=fAWrvSyAnS4

上記の画のような表現をしたい場合、窓の外から照明を部屋の中に向けてライティングしています。
このような表現をしたい場合などは光量の弱い照明だと出来ないですよね。

ただ、光量や色温度も大事で目が行きがちですが、先程お伝えした『演色性』も照明を選ぶうえでは大事な基準になってきます!!

照明で物体を照らす時に、自然光が当たったときの色をどの程度再現しているかを示す指標を『平均演色評価数(Ra)』といいます。自然光が当たってる時が100Raです。一般的な蛍光灯がRa60くらいと言われています。

また、フリッカー(光のゆらぎ)が出にくいのも、美しい照明といえます。
特に食べ物を美味しそうに撮る時や、ポートレート撮影などは『演色性』が高い光が重要です!
 
アパチャーの製品では演色評価数(CRI)値が書かれています。
CRI値とRa値は厳密には違うのですが、この数値が高い方がモノを美しく撮影できます。

・cinema staff「pulse」MV

・ファッションブランド FORTY FIVE PV

ただし上記MV・PVのようなトンネルの中のシーンやプールシーンのように、あえて作品の世界観を表現する時などは、自然光や古びた蛍光灯、カラーライトなどの光で撮影したりする場合があるため、演色性がいいことが絶対的正義でもないケースがあります。

そもそも撮影とは光源から発せられた光が被写体に反射し、それをカメラが捉えることをいいます。なので『カメラ』『被写体』『光源』の3つのうちの一つでも欠けると撮影することはできません。この中の『光源』を十分に確保するために照明とその技法(ライティング)が大事になってくるわけです。


出典:https://www.youtube.com/watch?v=WOOsw4Uw0FY

要するに、写真も映像も光を撮っている行為にすぎません。つまり普段の生活で物や人を自分の目で見れてると思いますが、それは、物や人が直接的に見えているのではなく、自然光や蛍光灯などの光に反射した光を見ていることになります。

なので全く反射しない人や物だと『真っ黒です!』=『何も見えません!』というように、カメラ撮影に関しても同じことが言えるわけですね。

光がないと撮影できないですし、光の質感がよくないといい撮影はできません!

ここまでで、撮影に関して光の重要性が伝わりましたでしょうか?
ここからは照明の基本的な使い方についてお話しします。

照明の使い方

照明はただ照らすだけではなく、配置も考えることが必要です。
配置を変えることで、硬い光になったり、柔らかい光になったりすることもあるため、映像の雰囲気などを変えることができます。


出典:https://www.youtube.com/watch?v=WOOsw4Uw0FY

照明の基本的な配置は上記の『三点照明』の配置になります!
まずは撮影する俳優などの被写体を照らすメインのライト(キーライト)。


『プリズナーズ』でのキーライト
出典:https://www.imdb.com/

キーライトが作る影を打ち消す役目のフィルライト。
※キーライトの反対側に設置し、大抵はキーライトより弱い光を使います。


『フィルム・ノアール』でのフィルライト
出典:https://crimelight.blogspot.com/2014/03/cinematographers-working-in.html

そして俳優や物に後方から当てる光であるバックライト。


『シャッターアイランド』でのバックライト(レオナルドの後ろから)
出典:https://www.imdb.com/

バックライトは、照らす対象よりも高い場所に設置することが多いです。物や俳優を背景から際立たせるためです。バックライトがあると、形や奥行きがハッキリするので画の立体感が増します。

このバックライトの考え方は私自身も大切にしているポイントで、例えば照明屋さん不在の撮影現場などでは、このバックライトはとても意識して撮影しています!

あと、現場によっては照明の数が少ない時など、太陽光をバックライトにして俳優さんなどの配置を決めたり、レフ板を使って光を和らげたりして、被写体に当てることもします。

この『三点照明』の配置はごくごく基本的な照明の配置になるため、気になる方は色々と調べてみてください!

色々と照明についてお話しさせていただきましが、私も映像撮影を始めた当初はカメラの設定やレンズばかりに気をとられていました。しかし映像制作をやっていくうちに『光と色』の大切さを痛感させられました。
 
もちろん光だけではなく、構成、脚本、カット割といったものもとても重要で、僕も含めたビデオグラファーの方々にありがちなのが、機材コンシャスになりがちなのではと感じています。

日本のトップアーティストのMVを制作する脚本家・企画/唐津宏治さんは、

『MVの現場で活躍するビデオグラファーさんの方は、今の30代~40代前の年齢層の世代から、グッと増えてきたのかなと思います、Canon5DMarkIIから始まりSONYα7シリーズが多くのビデオグラファーに浸透していき、DJIさんなどももの凄くいい機材をリリースしている中で、わりと機材ありきの映像が多く見受けられる気がする』

『なんのためにこのMVを作ろうとしているのかをもう一度考え直す必要がある』

『あくまで映像制作を仕事でしている以上、エンドクライアントはもちろん、その映像作品をみていただいた方にも少しでもプラスαになるように制作に打ち込んでいる、決して機材は見せびらかすものではなく、メッセージを伝える道具にすぎない』

と語っています。
この言葉僕自身、耳が痛いですね~😭

決して今、目の前のことだけにとらわれる事なく、クライアント様や視聴様の方々が何を求めているのかを考え、どのように映像制作を進めていくことが、一緒に仕事をしている仲間も含めていい方向に向かうのかを考えて、同じテーマに向かって歩み続けたいです。

最後にオススメの照明機材と、私個人の意見になりますが照明が特に素晴らしかった作品のご紹介をさせていただきます。

オススメの照明

・FalconEyes BL-30TD II
(Vマウントバッテリー使用可能で電源がない屋外の撮影にとても便利です)

・Neewer アドバンスド660 LEDビデオライト
(値段も上記のBL-30TDIIに比べて安い割に非常に使いやすく、BL-30TD IIよりも多少光量は劣るが、CRI96+の演色評価数と決して悪くない内容。NP-Fバッテリーも使用可能なので持ち運びのロケに最適)

※上記照明を使用した作品: +b ~備前焼のあるライフスタイル~

・Aputure Amaran 200x LEDビデオライト
(こちらの照明Amaranから少し前に発売された照明で、なんせコスパがメチャクチャいい!この値段で、光量も強く、BL-30TD IIよりも圧倒的に軽い!使用している制作者もなかなかの満足度!)

※上記照明を使用した作品: フィッシングブランド GOODWAVE PV
 ちなみにこの作品、私 竹山も出演!w

・AtomCUBE RX1 RGBCW Pocket Video Light
(こちらのライト、色の世界観を演出する時に使用することが多く、7.4V 4000mAh充電式バッテリーで軽量、ポケットサイズのデザインにもかかわらずかなりの光量で6色の色の世界観を演出!iOS/Androidアプリによりカラー、明るさ、エフェクトのコントロールが可能で、15Wフルパワーで約3時間使用出来ます!)

※上記照明を使用した作品: 「TOO YOUNG TO DIE」Presents by Forty Five

その他照明が特に際立った作品

・Warehouse TERADA 『WHAT』

・【城西石田】第93回箱根駅伝CM 届けたい言葉篇

・ZORN/家庭の事情 MV

・EVISBEATS – 夢の続き feat.田我流 MV

上記『夢の続き』のMVは、照明をほぼ使っていないMVですが、ロケの時間帯を計算して日光の午前中の自然光で撮影された作品です。
照明を使わなくても、撮影の時間帯、ロケーションにこだわれば、素晴らしい作品に!!

特に自分も意識していることなのですが、自然光は午前中の光が特に綺麗なので、作品にもよりますが午前中を目安に撮影スケジュールを組むことが多いです!
(クライアントの予定や作品の世界観にもよります)

ただ、夕方のサンセットの時間帯での夕日や、建物が多く車の交通量が多い場所での夜の撮影などでは建物の窓から見える光や車のライトがカラーライトの役目をしてくれたりするなど、非常に良い画が撮れやすいと思います!

表現したい作品によって、撮影する時間帯やロケーションを決めるのも、光をこだわる事と同じぐらい大切ですね!

以上、ニューステラ映像制作事業部竹山でした!


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